プラスチック製買物袋有料化制度とは? 持ち帰り用の袋における影響と対策を考えてみます。

プラスチック製買物袋有料化制度

2020年7月から施行の、プラスチック製買物袋有料化制度は、一般消費者や小売店、企業にまで広く影響する制度となっています。では、実際に店舗等で普段使っている持ち帰り用バッグは無料配布できるのか? 有料になるのか? その基準は? 等を分かりやすく解説してみます。

SDGsの影響

昨今SDGsの一般の人々への認識が進むにつれて、人々の地球環境への配慮や認識も同時に変わっていくのが実感としてありますが、こうした流れの中、一つの動きのとして世界や国が着目したのは、プラスチック製の買物袋が海へ廃棄され、海洋プラスチックとなり生態系に悪影響を与えている事です。テレビ等でよく放送される、プラスチックを体内に取り込んでしまった生物の映像が記憶に新しいところです。この問題は、ゴミの廃棄が適切になされていない事がそもそもの原因なのですが、とはいうものの全てのプラスチック製品を適切に廃棄処理できるかというとこれもまた難しいでしょう。では、根本的にプラスチック製品自体を減らせば?という考えから生まれた制度の一つ(?個人の感想です)がプラスチック製買物袋有料化制度と言えると思います。

レジ袋の現在

レジ袋に限った話をすれば、スーパー等の小売店で今までは無料で配布していた物を、有料化することによって、消費者は使い捨てではない自前のエコバッグ等で持ち帰る事が多くなる→レジ袋の消費量が減少→プラスチック製品自体の消費量も減少、という流れが期待されます。実際に報道されていた数字では、60〜70%の消費者がこの制度でレジ袋を辞退しているとの事。実際に効果は出ているのかもしれません。施行からもうすぐ1年で、何らかの報告を待ちたいと思います。

プラスチック製買物袋有料化制度の対象になるのはどんなバッグ?

このプラスチック製買物袋有料化制度ですが、全ての持ち帰り用バッグが有料化されるわけではなく、対象が限定されています。内容を少し詳しく紹介してみます。

持ち手付きのプラスチック製バッグが対象

ポリ袋の持ち手、左はレジ袋のもの、右は小判穴
持ち手

「持ち運び用」のバッグが対象なので、上部に持ち手が付いていること。レジ袋等は基本的に上部に2本持ち手があります。アパレル向け等では、マチの無い長方形の平袋上部に楕円形の穴(小判穴)が単純に開いていますが、これも持ち手です。対して、例えばスーパーの野菜やコロッケ等の油物、惣菜用に、トング等を使って入れる極薄い素材のポリ袋がありますが、これらは単純に袋であり、持ち帰り用のバッグに改めて入れる、いわば「内袋」(?)扱いなので有料化の対象ではありません。また、アクセサリー等の小物を軽く包装するだけの必要最小限のポリ平袋等も同様に、持ち手が無ければ有料化の対象ではありません。つまり、持ち運び用かどうか?がポイントです。

プラスチック製買物袋有料化制度の対象外になるのはどんなバッグ?

反対に、有料化しなくても良い、制度の対象外のバッグのとはどのようなものでしょうか。

フィルムの厚みが50マイクロメートル以上

バッグに使われているプラスチック素材の厚みが50マイクロメートル以上の物は、使い捨てではなく、繰り返し使う(リユース)事ができる耐久性を持っているという解釈で、何度も使える=過剰なプラスチックの使用を抑制できる→有料化対象外となります。リユース製の有無のボーダーラインを50マイクロメートルにする事で、一応制度が分かりやすくはなっています。

「海洋生分解性プラスチック」を100%使っている

先述の海洋性プラスチックは、分解性が無いのでいつまでも海に漂い、生物に悪影響を及ぼし続けます。そこで、海にプラスチックが到達しても、加水分解により水と二酸化炭素に分解されれば問題ないのでは? という考えで出てきたのが「海洋生分解性プラスチック」です。こういった分解性をもつプラスチックに関して、環境に配慮した材質なので有料化の対象外としようと言う事です。ただ、この海洋生分解性プラスチックはあるメーカーで実用化実験が成功した、という報告があったきりでその後進展は報告されておらず、現時点では製作する事ができません。これが実用化されれば、海洋プラスチックゴミ問題は一気に片付くと思いますが、いつの話になるでしょうか。

バイオマス素材を25%以上使っている

バイオマスプラスチックの由来とカーボンニュートラルについて。プラスチック製買物袋との関係を解説。

カーボンニュートラル」な素材と言われるバイオマスプラスチック。このカーボンニュートラルとはどういう事でしょう? プラスチックはゴミとして焼却する際に二酸化炭素を出すのですが、これが地球温暖化の原因の一つです。対して、このバイオマスプラスチックは、もともとトウモロコシやサトウキビ由来の原料から作られており、生育、栽培の過程で植物として二酸化炭素を吸収している、という理屈で少し優遇されているようです(弊社サイトでも紹介しています。弊社実績はこちら)。このカーボンニュートラルについては有効性の有無に関して議論されていますが、とりあえず現時点では有効性を国に認められ、買物袋の素材としては優遇されています。このバイオマスプラスチックを25%以上素材に含んでいれば、プラスチック製袋有料化制度の対象からは外れます。なお、この25%以上、という数字は今後SDGs等との協調の動きなども鑑みて上昇していく可能性が示唆されています。コンセプトが近い素材としては、生分解性プラスチックという素材もありますが、こちらは分解にいろいろな条件が必要で、無料配布の対象にはなっていません。こちらで詳しく解説しています。

商品を入れる袋かどうか

そもそも、その袋が「商品」を持ち帰る為に使う目的なので、袋の中身が商品ではない場合は有料化対象から外れます。例えば、無料で配布される景品や賞品、無償サンプルや販促サンプル等がこれにあたります。また一方では、クリーニングに出したものをクリーニング終了後ポリ袋を使って持って返ってもらう場合、これは元々客の物で、商品ではないので有料化の対象から外れます。また、お寺や神社等においては、お守りや破魔矢、最近では御朱印帳等が売られていますが、実はこれらは「商品」ではなく、「初穂料」という扱いになり、これも「商品を持ち帰る用のバッグ」というカテゴリから外れるようです。よってこれらも有料で配布する必要はありません。

具体的な有料化

プラスチック製買物袋有料化制度の対象になるバッグに関して、大体のルールは説明しましたが、実際の有料化にあたってどのような価格設定をすればよいのか?

まず、これは当たり前かもしれませんが、基本的にバッグの価格は提供する側が決めます。最低価格は1円で、それ未満は認められていないようです。またこれも当たり前でしょうか、複数枚提供する場合はその枚数分を支払ってもらう必要があります。5枚提供の場合に1枚サービス! 等は認められない、ということです。また、価格は買う人に明確に分かる様に1枚幾ら、と表示義務があります。価格をしっかりと明示した上で、購入者が必要不必要の判断をしっかりできる様にしておく必要があるためでしょう。

そして、実際にバッグを有料化し、その売り上げの取り扱いに関しては基本的にこちらも自由ですが、その使い道をオープンにする事により、更にこの制度の励行と普及に拍車をかける事も推奨されています。ある企業ではSDGs運動への使途貢献や社会慈善活動等に寄付していることを公表しているようです。

容器包装多量利用事業者

こうしたプラスチックを、袋や容器、包装にと大量に使っている事業者は「容器包装多量利用事業者」として区別され、一層のプラスチックの使用量の制限をする義務があるということで期待(?監視?)されています。莫大なプラスチック使用量において、わずか数パーセントの削減で大きな量を一度に削減できたりする為、詳細を国に報告する義務が出てきました。容器包装多量利用事業者の範囲、定義ですが、ざっくりと「年間プラスチック使用料が50トン以上」であるのが指標になっているようです。50トンというとすぐにはイメージできる量ではありませんが、例えば一般的なA4サイズぐらいの小判穴ポリ袋を1枚10gとした場合、50トンにした枚数は300万枚となります。これはどれぐらいの消費量でしょうか……例えば弊社のお客様で、全国約50店舗展開しているアパレル系の事業者様の消費量でいくと、ざっくり計算して月間の包装資材の使用量が20万枚です。年間で240万枚なので、さらにそれ以上の消費量の事業者様が対象になるということになります。目安になりましたでしょうか? 最近ではカップラーメンのフタを留めるシールがなくなるという事で、こちらもプラスチック原料を年間33トン削減できるというニュースがありました。それと比較しても50トンという数字はかなり莫大な量だという事が分かります。

この容器包装多量利用事業者は、その消費量の多さから、国に対してプラスチックの使用量の削減が巧くおこなわれているかどうかを報告する義務があるようで、その報告内用如何によっては指導や助言が行なわれるケースもあるようです。

最後に

まだ施行されて1年ぐらいの制度ですが、この辺りが実際にどのように運用され、どのような報告があり、実際に環境問題にどれだけ貢献できたかを知る事で今後の制度の成り行きや問題の解決方法にも色々と影響が出てくるかと思います。またそういった資料を入手できたらこの場でお知らせしてみたいと思います。

コメント

  1. […] 2020年施行の「プラスチック製買物袋有料化制度」。これは別の記事で詳しく解説していますが、主たる目的はプラスチックの使用量を抑制するもので、特に問題に挙げられる事の多い、レジ袋を始めとするプラスチック製買物袋が廃棄・燃焼の際に排出する二酸化炭素が地球温暖化を促進する事に対処するものとなっています。また、海にはプラスチックゴミがいつまでも滞留し、生態系への問題を引き起こしています。プラスチック製買物袋有料化制度の効果で持ち帰り用バッグが減り、プラスチックの使用量が実際減ったのかどうかは報告を待たねばなりませんが、この制度で有料化の対象から外れている素材、「バイオマスプラスチック」をここでは解説してみようと思います。 […]

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