オリジナル紙袋の製作数量について。〈その2〉定数仕上げと出来高仕上げを詳しく解説します。

以前、紙袋の数量について色々と書いてみましたが、この数量の話に関連して書きたい事が幾つか他にも出てきました・・・。その内の一つが定数仕上げ出来高仕上げに関してです。

これは例えばスーパーとかに行き、ジャガイモが欲しければジャガイモを欲しいだけの数をレジに持っていくのですが、一方、紙袋ポリ袋等の大量生産品を購入する場合は少し話が違ってきます。その辺りを詳しく説明いたします。

製造工程とロス

例えばの話ですが、紙袋を1,000枚作ろう、となった場合、材料を揃えます。この紙袋の仕様を仮に以下の様に、

  • 用紙:晒クラフト紙
  • オフセット印刷:2色
  • 持ち手:丸紐
  • 底ボール:あり

というシンプルなものとします。

この時、材料として晒クラフト紙を1,000枚分キッチリ用意すると、例えば印刷の工程で、試し刷りや印刷汚れ、見当合わせや色合わせといった様々な調整を行ないながら印刷していると、すぐに数百枚の紙が消費されてしまい、次の持ち手取付けの行程に移るときには紙袋800枚分ぐらいの用紙しか渡せなかった、という事になってしまいます。そうならない為にも、各工程である程度ロスが出る事を想定して各材料は多めに調達しておく必要があります。

ちなみにこの時、次の工程の「丸紐の取り付け」、「底ボール紙の取り付け」に関しては、ロスが出にくい、または出ない工程であるために、多めの調達の必要性はそれほどありません。

出来高仕上げ

反対にロスを恐れて全ての行程で多くの部材を調達しすぎてしまうと、製品自体の価格に影響が出てしまいます。また、ロスがこちらの想定より意外と少なく済んだ場合でも、残った部材を破棄したり返品したりする事は基本できないので、紙袋が少し多めに仕上ってしまう事もあります。価格と数量の折り合いをつける為に、お客様との合意の上である程度の数量の増減を了承いただき、仕上った紙袋の数量分のご請求をさせていただくという事が多いです。事前にご入金を頂いていた場合はご返金や追加のご請求になります。これが出来高仕上げです。

ただ一方で、1,000枚のご発注に対して半分の500枚しか仕上らなかったり、または逆に1,500枚も多めに仕上ってしまった、という事は極端なケースですので、プラスマイナス10%ぐらいの増減までに限定させていただく、という事になるのが一般的です。

定数仕上げ

とは言え、やはり数量が不定では困るお客様はいらっしゃいます。例えば予算の上限が決まっていてそれを動かせないというような「経済的な問題」のケースや、イベント等で事前に来場者数が完全に決まってしまっており、欠けたり増えたりする事が事実上できない「数量的な問題」のケースです。こういった場合は当初から完全に定数仕上げをゴールとして、ある程度部材を通常より多めに調達し、数量が欠けない様に余裕を持って慎重に製造いたします。こうした部材はやはり用紙やインク等、印刷に関わる行程が多いです。ただその分価格に若干の影響は出てしまいますが、弊社で責任を持って定数で仕上げます。

ポリ袋の場合もロスに対する考え方は基本的に同様です。ポリ袋の材料は原反と呼ばれるプラスチックの筒帯をロール状にしたものです。ただしこれは紙袋のケースとは逆で、原反の長さが最初から決まっているケースが多く、それを基準として製作可能な大体の数量が算出されます。

例えば3,000mの原反を使って長さ(高さ)300mmのバッグを作る場合、完全にロスを出す事無くバッグを作るとなると、理論上10,000枚のバッグが仕上ることになります(3,000,000mm÷300mm)。ただやはり前述の理由から鑑みると、ご発注として受ける場合は9,500枚ぐらいがベースとなりそうです。これは紙袋のオフセット印刷や製袋でのロスの考え方と同じです。ポリ袋の仕様・製造工程によってロスの大小は変わりますが、同じくポリ袋でも定数仕上げとしてご発注を頂く事も可能です。

ポリ袋の印刷方式の多くはグラビア印刷が用いられ、多色印刷時の見当合わせがオフセット印刷とは異なり独特な方法になっています。例えば多色印刷時の色自体にイエロー等の比較的人間の目では認識のし辛いような薄い配色がなされてた場合、見当合わせの難易度が上がり、ロスが比較的多く出る傾向があります。こうしたロスが出やすいデザインや配色は事前に把握し、対策、準備しておく必要があります。

バッグの用途

こうした数量に関する問題は、先程も少し触れましたがお客様のバッグの用途によって変わってきます。先程の記述で、確実に定数での仕上げが必要なケースというのがありましたが、一方で例えばアパレル系や食品系等、レギュラーで継続して大量に使用されているようなバッグもあります。無くなってしまう少し前に随時次のロットの製作を開始する、といった様な少々の数量の増減がほとんど問題にならないケースがこれにあたります。そういったお客様には出来高仕上げという条件でご発注を頂き、仕上った数量通りのご請求をさせていただいています。

不織布系のバッグに関する数量の話

紙袋やポリ袋と同様に、不織布系のバッグのご発注を頂く際も、数量に関しては基本的に出来高仕上げとなります。ただ、製造方法としてはミシン縫製が主になる不織布系のバッグでは、機械を使った大量生産向けのものと比較してロスが出る確率は低くなります。人間の手作業となる為に、ロスの予想がしやすく、出来高仕上げのバッグであっても殆どは定数で仕上ります。例外的には、製造が完了して国内に入荷してきたバッグを弊社でチェックする際、不良発生等で数量が足りなくなったりすることが稀にあるぐらいです。その場合も勿論追加で補填製作して対応致します。

このように、縫製品と加工品で多少の作り方の違いはあるものの、基本的な考え方は同じとなっておりまして、ロスに対してどれだけ予備を用意するか、というのが仕上がり数量増減を左右します。弊社では今までのある程度の実績から、行程毎のロスの出やすさを把握しておりますので、無駄なく製作する事に関して自信を持ちつつ製作にあたるのですが、それでもやはり予期せぬ自体が稀に発生する事があります。

印刷色の変化

例えば、オフセット印刷において特色を印刷する場合、お客様ご指定のDicPantoneナンバーの調合・調色レシピに従ってインクを用意するのですが、印刷の刷り上がり時点では色見本通りの仕上がりだったものが、翌日または数日立つと色が変わっている、というケースがあります。紫等は特に多く、赤寄りの紫だった物が数日で青寄りの紫に変化していたり、赤のベタ印刷が翌日朱色になっていたり、等です。

変わり方がある程度予測のつく物の場合は事前に例えば紫を赤寄り、又は青寄り等に印刷すれば良いのですが、現場の温度・湿度等の条件や、またその色変化量も予測が難しいケースが多く、特に注意が必要です。

また、数日間充分に乾燥させた印刷物を、その後PPフィルムを貼る行程を経ると、更に又色が変化した、というケースもあります(多くはPPフィルムを貼ると赤っぽくなる事が多いのですが)。これはフィルムを圧着する際にオフセット印刷で表現されたアミ点(オフセット印刷の色表現は極めて小さいCMYK4原色による点々の組み合わせで表現されています)が圧力で潰れて拡大され、結果色が濃くなるケースや、フィルム貼りの際に必要な熱でインクが変色したりするケースもあります。

この変化量はまちまちで、経験が物を言う場面です。こういう場合はやはり少し余裕を見て、多めのロスが出る事を前提とした上で、インクと紙を用意しておく必要があると同時に、印刷オペレーターとの事前打合せも重要になります。

経験豊富なスタッフが対応します

数量に関するあれこれはご発注に至る前段階で全て解決しておく必要がありますので、初めてのバッグを製作されるお客様にとっては少し煩雑な面もあると思います。弊社経験豊富なスタッフが丁寧に説明させていただきますので、お気軽にご相談を頂けましたらと思います。

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