オリジナル紙袋の製作にかかる納期と、その製作スケジュールについて詳しく解説。

オリジナルバッグ製作にかかる期間と日程について書いてみたいと思います。今回は紙袋について。

紙袋は大きく分けて、既製品別注品(オリジナルまたはオーダーメイド)があります。ここでは主にオリジナル製品について解説しますが、先に軽く既製品に触れてみたいと思います。

既製品紙袋の納期

紙袋の既製品のご発注を頂く事は比較的少ないのですが、お急ぎのお客様や特にまだオリジナル構想が固まっていないお客様には便利な製品です。仕様によっては50枚ぐらいからの少量で製作でき、お試しで使っていただく分にはこれで充分事足ります。そしてこの既製品を使う事によって出てくる不満点や改善点を、オリジナル製作に反映する事ができます。

多くの他の既製品と同様に、オリジナル印刷はシルクスクリーン印刷にて行ないます。既に仕上がっている製品に印刷出来る数少ない印刷方法で、印刷エリアや面積等に制限がありますが、名入れ印刷には充分対応可能。こちらの記事でも詳しく解説しています。既製品の在庫があれば後は完成までは印刷するだけなので、納期イコール印刷する期間、と言うことになります。期間は印刷する数量で変わりますが、目安としては2週間前後、といった所です。もう少し細かい話をすると、この印刷期間には「印版を製作する期間+印刷する期間+印刷を乾燥させる期間」が含まれます。印版は数日で出来ますが、乾燥させる期間、というのは物によってはかなり変わってくる場合があります。ただ紙袋の場合は、多くは紙への直接印刷か、もしくはPPフィルム等への印刷となりますので乾燥には特に気を使わなくても大丈夫です。

紙袋の既製品への印刷は、シルクスクリーン印刷の他には箔押し(ホットスタンプ)という方法もあります。印刷、というには少し方法が違いますが、インクを使わず箔を熱によって対象に転写する技術で、こちらも既製品への名入れに使う事ができます。ただこちらも幾つかの制限があります。一つには対象がほぼ平滑である必要がある為、紙袋の折り重なり等の段差がある所には不向きな点です。そうなると紙袋のサイズによっては中央の非常に小さいエリアへの箔押しが可能になるのみで、自由度がかなり下がります。箔押しの場合でも納期は上記シルクスクリーンと同様、2週間前後と考えていただいて構いません。

まとめますと、既製品への名入れ製品の納期はいずれの印刷方式の場合でも2週間。デザイン等仕様により名入れ箇所、面積が制限される、ということになります。

オリジナル紙袋の納期

ここからは本題のオリジナル紙袋に関するスケジュールや納期についてです。オリジナル紙袋の納期に関する分類方法では、大きく国内製造、海外製造に分かれます。

海外製造

海外製造の紙袋は、その紙袋の仕様如何によって納期が変わるケースは余りなく、一律2ヶ月前後となっています。これは納期の割合の多くを輸送が占めているのが要因の一つです。輸送は現地生産工場から港への陸送+船便となり、国内へ船での入港の後、通関を経て国内流通に乗ります。これに袋自体の製作期間と、量産に入る前のチェック用サンプル製作期間が加わると大体2ヶ月となる計算です。

(確認サンプル製作2週間)+(袋自体の製作期間1ヶ月)+(輸送期間2週間)

大体上記のようなイメージとなります。ただ上記のような理想的なスケジュールで進行できるケースはあまりなく、オリジナルバッグの製作には確認サンプルからの仕様変更や、国外遠隔地とのコミュニケーション・意思疎通の難しさに起因する不具合不都合等、ある程度のバッファを見込む必要があります。また、時には通関では書類の不備やその他原因不明の都合で荷物が止まったりすることもあり、そうなると私どもの方では如何ともし難い納期への影響が出てしまうこともあります。コストが安く製作できる一方で、納期に関してはいくつかの不利な点があることは無視できません。

その他に国外製作の紙袋で気をつけるべき点は、国内と国外のカレンダー(休日)の違いです。中国では主に旧正月国慶節という年間一大イベントがありまして、旧正月は毎年主に2月頭、国慶節は10月頭に設定されています。この期間を跨ぐ場合の製作をする場合は注意が必要で、通常納期に加え、1ヶ月程度長く見込んでおく必要があります。最近ではこの休みの期間も昔ほど長くなくなってきたようですが、納期に与える影響が大きいだけに、ご相談いただいた際はまず初めにチェックするべき項目と言えます。

海外製造の紙袋に関しては上記のポイントを抑えてさえおけば、その他は低コスト、高品質のお薦めの製作方法です。

国内製造

国内製造の場合、輸送期間の納期への影響は殆ど問題となりません(ただし北海道と沖縄へは通常より時間をいただいております)。納期の内訳としては殆どが製作に掛かる時間と言うことになります。製作に掛かる時間は、製作する紙袋の種類・仕様で多少変わります。

〈小ロット紙袋は行程の数〉

まずは小ロットで受注を頂く場合ですが、主に以下の様な行程になります。

  1. 校了後、データチェック (2日)
  2. 用紙手配、断裁/その他持ち手等部材の手配 (1日)
  3. オフセット印刷用製版 (1日)
  4. 用紙へのオフセット印刷 (1日)
  5. PPフィルム等の貼り加工 (1日)
  6. 箔押し/エンボス加工 (1日)
  7. 製袋(機械または手作業) (2週間)
  8. 梱包、出荷 (1日)

それぞれに目安の期間を記載しましたが、あくまでスムースに進行した場合の期間です。合計すると大体実働で1ヶ月程になると思います。ここから、それぞれの紙袋別に不要な行程を省いていくと大体の理想納期も計算できると思います。この中では7の「製袋」に一番時間が掛かります。この行程では、サイズや仕様によって機械が使えたり、逆に手作業でないと難しかったりと色々と振れ幅が大きい期間でもあります。手作業の場合でも、特に折り方が難しい場合等は予め紙に折り罫加工(トムソン型による型抜きのようなもの)を行なって折り目をつけ、作業性を上げる事も時には必要になります。

こうした多くの工程が必要になる紙袋で、同時に短納期をお求めのお客様もいらっしゃいますので、そういった場合には折り加工場を複数手配して一気に仕上げる、等の方法を採る事もあります。このように様々なケースが考えられる小ロットの紙袋ですが、上記を全て考慮した上で、最終的には小ロット紙袋の納期は大体1ヶ月を目安にしていただけたらと思います。

〈中・大ロット紙袋は殆どが機械行程〉

別の記事で紹介した事もある、OFJ紙袋フレキソ紙袋、これらの紙袋は納期は一律小ロット紙袋と同様に1ヶ月が基本となっています。殆どが機械行程となるこれらの紙袋は、製作期間は実はごく短期間で、どちらかというと製作期間というよりは製作の順番待ち、といった意味合いが色濃いくなります。

大ロット製作となるフレキソ紙袋は、ロール紙の手配と持ち手等の部材の調達、そして印刷に使う版の製作を事前に済ませておき、それらを機械に設置すれば印刷、製袋(折り加工、持ち手付け)まで全て自動で完成します。

注意点としましては、先程の「順番待ち」のそれ自体が問題となるときがある事です。紙袋のサイズに合わせて数種類の製造機械があるのですが、当然一番良く使うサイズの紙袋の機械稼働率は非常に高くなり、加えて機械の設定を頻繁に変える事が難しい為に、スケジュールの兼ね合い等でやむを得ず比較的珍しいサイズの紙袋の納期が長期化したりすることもあります。OFJ紙袋も同様です。ただOFJ紙袋は輪転機ではなく枚葉機での製作となりロール紙は使用しないので、その点ではフレキソと比べ若干納期的には有利かと思われます。

まとめ

最初にお客様と紙袋の納期のお話をする際、1ヶ月ぐらいかかる事をお伝えすると意外に驚かれる事が多いのですが、例えば極めてシンプルな紙袋、晒クラフトに1色印刷、フィルム等は無しでA4が入るぐらいのサイズの紙袋であれば、急げば3週間で出来たりします。ケースバイケースで納期も変わりますので、まずはお気軽にご相談頂けましたらと思います。

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