オリジナル紙袋の製作数量について。〈その1〉小ロットから大ロット、国内製造、海外製造を詳しく解説。

倉庫

お客様がオリジナルバッグを作ろうと思った場合、まずどのような仕様のバッグを作ろうか?と思案すると思いますが、同時にどれぐらいの数を作ろうか?とも考えるのではないでしょうか。製作数量は色々な所に影響する要素ですので、一度まとめてみたいと思います。まずは紙袋から。

紙袋の数量上の区分

一口に紙袋といっても様々な種類があります。生産地や仕様、製作数量、製法や加工等で分ける事ができますが、数量に限った話の場合、簡単に3つに分けてみたいと思います。数量に関しては、大きく小ロット、中ロット、大ロットに分ける事が出来ます。

  • 小ロット(500枚〜1,000枚)
  • 中ロット(2,000〜5,000枚)
  • 大ロット(7,000〜)

これはおよその数での分類ですが、製作数量によって製造方法も大きく変わります。

・別注紙袋〈最少ロット〉500枚〜

小ロット紙袋の最少ロット

既製品の紙袋を除けば、オリジナル紙袋は500枚から作製出来ます。といっても500枚以下が作製できないわけではなく、例えば100枚作製も可能ですが、コストが500枚を作る場合と同じぐらい掛かってしまうので、「実質500枚」にしています。

これは具体的にどういう事かというと、例えば一般的なA4サイズの紙袋100枚を作製するのに、必要な全紙サイズの紙は、50枚程です(全紙の紙を半分に断裁して使います)。しかしながら全紙サイズの紙の最小販売単位は250枚単位です。これ以下の枚数でも調達は出来ますが、ここでも一枚単価がグッと上がってしまい、効率的ではありません。

これは印刷料金も同様で、1枚の紙をオフセット印刷する料金と、1,000枚の紙を印刷する料金は同じになっています。まずはCTPという大きな印刷版を出力機から作製し、巨大なオフセット印刷機の胴にセッティングします。インクを調合して印刷機に盛りつけ、数回の試し印刷(この時既に数百枚の紙を使います)の後に本番印刷…といった行程を1枚の為に行なうのは効率的ではないからです。

その他資材(持ち手の紐、底ボール紙、PPフィルム等)の調達にも同様の事が言えるので、結果経済ロットは言えませんが500枚ぐらいからの製作をお勧めしています。ちなみに印刷料金に関しては500枚も1,000枚も料金は変わらない事が多いので、紙袋500枚製作時の単価は1,000枚の時と比較して多くのケースで割高になりがちです。

中ロット紙袋の最少ロット

中ロット、となると製作枚数は大体2,000〜5,000枚でしょうか。中ロットの紙袋の作成方法は幾つかあります。

海外製作

小ロットと同様の製作方法ですが、海外で製作し、輸送は船便にすることで国産と比べ低コストで作成可能です。生産地は主に中国ベトナムです。

利点
  • 国産と比べて60〜70%程のコストで製作が可能
  • 日本製と比較してほぼ遜色ないクオリティ
難点
  • 納期が長い
  • 選べる紙袋の仕様が国産と比べやや少ない

近年では各国の印刷機メーカーも中国等への販売に力を入れている様で、印刷機や製袋機のクオリティは日本の物と比較しても遜色なく、むしろ最新型の機材が中国で使われているケースもあります。製作枚数500枚前後では海外製作のメリットも享受しにくく、ある程度コストに有利な効果が出るのが2,000枚ぐらいからです。

納期に関しては中国での陸送+船便という形になるので、輸送にかなり時間を取られます。

最後の選べる紙袋の仕様ですが、これに関しては国産がかなりバラエティに富んだ選択肢がある一方で、海外製はというと用紙や持ち手の素材・種類、様々な加工等で一歩遅れているのが現状です。生産地周辺でこういった選択肢が今後増えてくるとまた話は変わってくると思います。

OFJタイプの紙袋(国内、海外)

こちらは国内でも海外でも製作は可能なタイプで、紙袋の製造に関わる多くの行程を殆ど機械で行なうものです。

利点
  • 比較的低コスト
難点
  • 一部選択出来ない紙袋の仕様あり(箔押し、持ち手の種類等)

この紙袋の特徴の一つには、500枚の時には人間が手作業で折り作業や持ち手の取り付け等を行なっていた所を自動で行なうという点です。手作業が殆どなくなりますのでコストに有利です。また、持ち手は自動製袋に対応した3〜4種類の持ち手に限定されます。この持ち手が特徴的で、小ロットの場合に取付けられる持ち手とは違い、紙袋に穴を開けずに、紙袋に対して直立した状態で取付けられる為に、結び目が発生せず、スッキリとしたスタイルの持ち手になります。

大ロット紙袋の最少ロット

紙袋のサイズにもよりますが、7,000枚以上の紙袋のご希望の場合は大ロットの分類になります。ここでも生産地は国内、海外の両方の選択肢があります。

輪転機によるフレキソ印刷と自動製袋を使った紙袋

一般的にフレキソ紙袋と呼ばれます。

利点
  • かなり低コスト
難点
  • 紙袋の仕様に多くの制限がある
  • 印刷品質がオフセット印刷と比較して劣る
  • 印版コストが比較的高い
  • ある程度の数量が必要

コストに関しては、小ロットの場合では一枚単価が100円前後だったものが、フレキソ紙袋の場合10円〜20円になるぐらい、圧縮できます。これが一番大きな利点です。

一方で難点は幾つかあり、中ロットまでの紙袋での印刷方式は基本的にオフセット印刷という、細かい表現や濃淡に優れた方法で行ないますが、このフレキソ紙袋ではフレキソ印刷という樹脂(ゴム)素材の版を使った方法を使います。この版は色の濃淡や精細な表現が苦手で、デザインの制約が比較的多くなります。また、このゴム素材の印版は高コストで、面積に応じてコストが変わる設定になっています。

印刷と製袋は輪転機を使って行なわれ、原材料の紙はロール紙が使われます。このロール紙の一巻き(一本)が3,000メートル程あり、これを全て使って大量に紙袋が自動で作られるので、この点がロットが多く、また安くなる仕組みです。

この3,000メートルのロール紙を、作る紙袋のサイズで割るとおよその最少ロットが割り出せます。例えば縦が400mm、マチが100mmの紙袋があったとしますと、この紙袋の展開図の高さは480mmです(底フラップはマチの80%になるケースが多い)。ロール紙の長さは300万mmとなりますので、300万mm÷480mm=6,250枚がおよその最少ロットです(製造の際は若干のロスが出ます)。

海外製作の大ロット紙袋

これは中ロットの場合と同じで、中国やベトナムでの海外製造と船便による輸送でコストを下げた紙袋です。希望する紙袋の仕様がフレキソタイプの物では不可の物だったりする場合に有効です。価格はフレキソと比較すると及びませんが、大量ロットの量産効果は十分あります。

これで大体の数量区分における製品の形態を分類してみましたが、ご希望のバッグの仕様やデザイン、価格帯を絞り込むご参考にして頂けましたらと思います。

年間消費量とお預かり

これ以降は同様に数量と関係の深い、納品形態の具体的なケースを紹介してみようと思います。

店舗の新規オープンのケース

新規オープンされるお客様の場合は、初回のロットを大量に作製されるケースはそれほど多くありません。どちらかというと最初は小ロットで製作、使いながら様子を見た上で、使いにくい場合は仕様、またはデザイン変更を施す、という計画の方が多いです。また、消費されるスピードも読みにくく、複数のサイズを作ったが一番多く使われるサイズの予想が難しかったり、中に入れるもののサイズとの整合性や効率まではなかなか読み切れなかったりします。

そこで考えるのは、小ロットで必要な分だけ用意でき、在庫リスクを避ける事ができる既製品です。既製品はコストが高くなったり、仕様の融通が効かない等不便な所がありますが、オープン初期に導入するのは一つの選択肢としては有効です。例えば少し手間ですがロゴマークはシールを貼ったりハンコを押すことで表現し、短期間である程度予想がついてから、オーダーメイド品にバトンタッチする、という手法も多いです。

また、オーダーメイド品は生産に数ヶ月を要する場合が多く、納期の問題から既製品をとりあえず選択し、それを使いながらオーダーメイド品の完成を待つパターンもあります。既製品は小ロットでの調達が可能なため、オーダーメイド品に切り替わった際のロスも最小限で済みます。このように既製品、別注品双方の特徴をうまく利用しながら運用するパターンは多くのお客様がおこなっています。

保管場所の問題

バッグが出来上がってきて、さあどこへ保管しよう?となったとき、スペースの問題が持ち上がってきます。紙袋や不織布系のバッグはやや嵩張る傾向があり、一般的なダンボール箱一箱に100枚ぐらいしか入りません。重量はやや軽めではありますが、体積が大きいためにしばしば保管場所の問題が発生します。事前にある程度の梱包状態は予想出来ますので、必要な場合はお伝え致します。

対してポリ袋等は一枚の厚みが薄い物が多く、厚い物でも0.1mmぐらいなので、数あるバッグ類の中でも最も省スペースで保管できます。ただ、持ち運びする際の最小単位、ダンボール箱が多いのですが、その一箱がやや重くなるケースが多く、アパレルショップ様等で女性の方が移動させたりする場合に注意が必要です。一箱の入り数は数千になる事が多いです。

いずれの場合も、そのバッグをどれだけの期間で消費するかで話は大きく変わります。イベント等で2〜3日で消費してしまう場合はそれほど保管スペースの問題にはならないかもしれません。また、2〜3年分を低コストで大量に製作した場合には、製品の種類にもよりますが保管スペースの問題以外に製品自体の変質も考慮する必要があります。保管状態、例えば温度や湿度、日光の有無、積み上げて圧力が掛かった状態等、季節等で状態が大きく変わる場合があります。オフセット印刷用インキの中には時間が経つとインキ成分中の金属が錆びる等で、変色してしまうケースもあります。また、光に当たる事でも変色します。

意外とデリケートな製品が多いので、長期間の保存をお考えの場合はご相談下さい。ご発注の内容によっては弊社で製品を責任を持って一定期間お預かりしておく事も可能です。

お客様の環境やご希望で様々なケースが考えられる包装資材の数量ですが、お客様各々のケースに合わせた提案が可能ですので、是非気軽にお電話またはEメール等でご相談頂けるのをお待ちしております。

コメント

  1. […] 以前、紙袋の数量について色々と書いてみましたが、この数量の話に関連して書きたい事が幾つか他にも出てきました・・・。その内の一つが定数仕上げと出来高仕上げに関してです。 […]

タイトルとURLをコピーしました